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この記事のまとめ
長期インターンの雇用形態は、非正規社員(アルバイト)、業務委託契約の2種類が主流であり、入社を決める際はそれぞれの雇用契約の注意点を把握しておく必要があります。
雇用形態は、企業規模や仕事内容によっても異なりますし、教育体制や給与設計も企業ごとに変わります。どちらが良い悪いの話ではありませんが、貴重な学生時間を活用するため、入社する企業は慎重に選ぶ必要があるでしょう。
本記事では、長期インターンの雇用形態について、メリットデメリットや注意点をまとめました。保険や扶養、年末調整、確定申告についても触れていますので、契約上の注意点を事前に知っておきましょう。
この記事の監修者 | |
柴田 将希 株式会社Renew 代表取締役。長期インターン求人サイト「Renew」運営。自身の長期インターン経験や、就職活動・転職活動、起業経験をもとに、学生のキャリア支援を行なっています。 |
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▼目次
長期インターンの雇用形態とは
長期インターンを始める際は、企業と学生は雇用契約を結びます。
雇用契約とは、学生が企業の指示下で労働に従事し、その労働に対して企業が賃金を支払うことを約束する契約です。雇用契約には、正社員やアルバイト、委託社員など複数の契約パターンがありますが、長期インターンでは大きく2種類の雇用形態が存在します。
まずは雇用形態の概要と、雇用契約と業務委託契約の違いについて解説します。
雇用契約上の非正規社員(アルバイトと同じ)
長期インターンでは、非正規社員(アルバイト)として雇用契約を結ぶことが多いです。
非正規社員は、一般的にアルバイト・パートと呼ばれ、決まった曜日・時間に働く点が特徴です。長期インターンでは、事前に決めた曜日・時間にオフィスへ出勤し業務に従事するため、雇用契約上アルバイトとして扱われるケースが多くなります。
また、時給や日給で賃金が計算されるので、収入の見通しがつきやすい点でも働きやすいポイント。通常のアルバイトと同じく労働条件が比較的柔軟に設定しやすいので、学業と両立しやすい雇用形態です。
業務委託契約を結ぶ場合もある
長期インターン先によっては、業務委託契約を結ぶ場合もあります。
業務委託契約とは、企業が行っている業務の一部を外部の企業や個人に委託する際に結ぶ契約のことです。
業務委託契約は請負契約と委任契約の2種類があります。
- ①請負契約:成果物に対して報酬が支払われる(例:ライター、プログラマーなど)
- ②委任契約:成果物に関わらず、仕事を進めたこと自体に報酬が支払われる(例:弁護士、コンサルなど)
例えば、営業の長期インターンでは「1件のアポイント獲得につき5,000円」、Webライターの長期インターンでは「1記事あたり3,000円」といった業務委託契約を結ぶことがあります。
労働力に対して賃金を支払うアルバイトと異なり、依頼した仕事の成果物に対して報酬が支払われる点がポイント。依頼主が納得する成果物を完成できれば良いので、仕事の進め方や時間が比較的コントロールしやすいという特徴があります。
雇用契約と業務委託契約の違い
非正規社員(アルバイト) | 業務委託契約 | |
労働基準法による保護の有無 | あり | なし |
加入できる社会保険 | ・健康保険 ・厚生年金保険 ・雇用保険 ・労災保険 ・介護保険 |
・国民健康保険 ・国民年金保険 ・介護保険 |
年末調整の有無 | あり | なし |
所得の種類 | ・給与所得 | ・事業所得 ・雑所得 |
確定申告の要否 | なし | あり |
雇用契約と業務委託契約の違いは、雇い主の指揮・監督下で仕事を進めるかどうかです。これを「使用従属性の有無」と呼びます。
非正規社員(アルバイト)で雇用契約を結んだ場合、社員の指示に従って仕事を進めるので、使用従属性があると判断されます。学生は雇い主の保護下に入るため、労働基準法や労働契約法の適用対象者になります。また所得は、給与所得として扱われ、雇用主(会社)が年末調整を実施するため、確定申告の必要はありません。
一方、業務委託契約は外部の人材に仕事の一部を任せる契約なので、使用従属性が無い独立した関係と判断されます。雇い主の保護管理外になるので、自分で休日管理や保険の手続きが必要になります。所得は、事業所得や雑所得として扱われ、条件を満たす場合は確定申告が必要になります。
このように雇用契約か業務委託契約によって、企業と学生の関係性が異なる点を押さえておきましょう。
雇用契約(アルバイト)による長期インターンの注意点
続けて、雇用契約による長期インターンの注意点を解説していきます。
雇用条件や保険の内容によっては、金銭的に損をしてしまうことも。注意点を事前に把握し、リスクを回避していきましょう!
①最低賃金が適用される
都道府県名 | 最低賃金時間額(令和6年度) |
北海道 | 1,010円 |
東京 | 1,163円 |
大阪 | 1,114円 |
愛知 | 1,077円 |
福岡 | 992円 |
雇用契約を結んだ時の最低賃金は、最低賃金法という法律で定められています。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特別(産業別)最低賃金」の2種類があります。長期インターンであっても、最低賃金未満の時給で勤務させることは許されていません。
長期インターンで雇用契約を交わす際は、各都道府県の最低賃金を下回っていないか必ず確認しましょう。求人票の給与欄が最低賃金未満になっている求人には注意してください。長期インターンの給料相場や平均時給を知りたい方は、こちらの記事(長期インターンの給料)も読んでみてください。
②社会保険の加入義務が発生する可能性がある
社会保険とは、健康保険や厚生年金保険など、人生のリスクに備えた保険制度です。
長期インターン生であっても、一定の条件を満たした場合は加入対象者となります。例えば「1ヶ月の総労働日数または1週間の総労働時間が常時雇用者(正社員)の3/4以上」になるケース。週5日・1日6時間のようにフルタイムに近い労働時間で働いた場合、保険加入の可能性が高まるので注意が必要です。
また、年間130万円以上の収入がある場合も社会保険に加入する必要が出てきます。長期間かつ長時間インターンで働く場合は、社会保険も念頭に置いて勤務頻度を検討しましょう。
③労災保険が適用される
労災保険とは、通勤中や業務中の怪我・病気に対して必要な給付を行う社会制度です。
労災保険の適用範囲は、その企業で働く労働者なので、雇用契約を結んだ長期インターン生にも労災保険が適用されます。なお、労災保険の費用は、原則事業主が支払うことになっていますので、皆さんが保険料を心配する必要はありません。
労災保険は、もしもの怪我・病気から自分を守ってくれる重要な制度です。保険の詳細や適用範囲について事前に調べておくと良いでしょう。
④雇用保険は基本的には適用外になる
雇用保険とは、労働者の生活と雇用の安定を図ることを目的とした社会制度です。
失業手当や育児給付金などが用意されており、失業や転職、育児介護休暇時に雇用保険制度が活用されています。なお、一般的な大学生は、学業が本分とみなされるため、長期インターンで雇用保険への加入義務は発生しません。
ただし、現在休学中の人や夜間学部の学生、さらには卒業後にインターン先の企業へ就職予定の人は保険適用になる場合があります。例外パターンが複数あるので、自分が雇用保険の対象者かどうか、事前に確認しておくと安心です。
業務委託契約による長期インターンの注意点
業務委託契約による長期インターンには、気をつけておきたい2つの注意点があります。
雇用形態が業務委託契約の場合、注意点を検討・納得したうえで契約を結びましょう。
①教育体制が整っていない可能性がある
業務委託契約による長期インターンでは、教育体制が整っていない可能性があります。
業務委託契約は、成果物に応じた報酬が支払われるため、プロセスよりも成果を重視する傾向にあります。長期インターン先によっては、期日までに仕事が仕上がっていれば良いとされ、十分なチェック体制や教育カリキュラムを用意していない場合もあるので注意してください。
同じ長期インターンならば、インターン生同士の交流や社員からフィードバックがもらえるインターンの方が得られるものが大きいです。もちろん全ての企業で教育体制が整っていない訳ではないので、各会社を見極める必要があります。長期インターン面接の場で、学生同士のコミュニケーション量や仕事における社員との関わり方を事前に確認しましょう。
②最低賃金を下回る可能性がある
業務委託契約による長期インターンの場合、最低賃金を下回る可能性があります。
業務委託契約とは、業務で完成させた成果物に対して対価が支払われる契約です。そのため、仕事を終えるまでに要した時間に対し、報酬が最低賃金以下になるケースも生じます。
例えば、報酬1万円の長期インターンで業務を終えるために20時間を要したとすると、時給換算では実質500円です。時給1000円のアルバイトであれば、10時間で得られる金額と考えると少し腑に落ちない人もいますよね。「お金を稼ぐ」という点において、業務委託契約だと納得感が得られない可能性も理解しておきましょう。
最低賃金を下回る求人は、学生にとっても悪質な長期インターンである可能性が高いです。やりがい搾取をされないように、雇用形態や給与設定に違和感のない会社を選びましょう。怪しい長期インターンの特徴については、こちらの記事(長期インターンは怪しい?)を読んでみてください。
長期インターン中の扶養・保険について
長期インターンでは、非正規社員(アルバイト)として雇用契約を結ぶケースが多いため、保険の予備知識があると何かと安心です。
保険と聞くと身構えてしまいますが、いざという時に自分の身を守るためにもしっかり把握しておきましょう!
社会保険
社会保険とは、怪我や病気、失業、老後などのリスクに備えるための制度です。主に、健康保険・雇用保険・厚生年金保険・労災保険などがあります。
- 健康保険:怪我や病気の治療で生じる医療費を一部カバーする。保険料は会社と折半で支払う。
- 雇用保険:失業時に一定期間、給付金を支給する。 保険料は会社と社員で負担。
- 厚生年金保険:老後に備えた年金制度。保険料は会社と折半して支払う。
- 労災保険:仕事中の怪我や病気に対する補償制度。保険料は全額会社負担。
インターン生であっても、労働時間や収入面で一定の条件を満たした場合、加入対象者となります。
長期間かつ長時間働く長期インターンに参加する場合は、保険の加入について事前に親と相談しておきましょう。
労災保険
労災保険は、通勤中や業務中の怪我や病気に対して必要な補償を行う制度です。通勤中や仕事中に怪我をした場合、医療費や休業補償が支給されるほか、後遺障害が残った場合も補償対象になります。
適用範囲は企業で働く労働者なので、雇用契約を締結した長期インターン生も適用対象です。労災保険は、学生が安心して働くために大切な制度です。トラブルが発生した際は、遠慮せず企業に相談しましょう!
雇用保険
雇用保険は、失業者や再就職活動中の人へ経済的な支援を行う制度です。ハローワークで所定の手続きを行い、定期的に就職活動状況を報告することで、失業給付金や職業訓練の費用補助が受けられます。
なお、一般的な大学生は学業が本業なので、長期インターンで雇用保険の加入義務は発生しません。ただし、休学中の学生や夜間学部へ通う学生、卒業後にインターン先企業へ就職予定の人は、雇用保険が適用になる場合があります。不明点があればインターン先企業やハローワークで確認するようにしましょう。
長期インターンの契約トラブルを回避する方法
ここからは長期インターンの契約トラブルを回避する方法をご紹介します。
不要なトラブルに巻き込まれないよう、事前に対応策を押さえておきましょう!
①求人サイトの雇用形態を確認する
まずは、求人票に記載されている雇用形態を必ず確認しましょう。
雇用契約上の非正規社員(アルバイトと同じ)扱いなのか、業務委託契約なのか把握したうえで契約することが重要です。求人サイトにもよりますが、雇用形態が略称で掲載されている場合もあります。
【雇用形態の略称例】
[A]アルバイト/[P]パート/[派]派遣社員/[契]契約社員
[社]正社員/[紹]有料職業紹介/[委]業務委託契約
求人サイトを確認しても雇用形態が不明な場合は、応募する前に企業の問い合わせフォームから質問してみましょう。
②雇用契約書を確認する
長期インターン選考に合格し、正式に採用が決まると企業側から労働契約書を渡されます。渡された労働契約書はしっかり読み込み、理解してからサインしましょう。
労働契約書を確認する際は、雇用形態や報酬、業務内容や勤務時間などが募集要項や面接時の説明と相違ないかチェックしてください。疑問点が1つでもあれば、その場で確認することが重要です。
疑問点が解消されないまま、「まぁ大丈夫だろう」という判断で労働契約書にサインをしてはいけません。自分が理解できるまで企業に説明を求める、一度持ち帰って周囲に相談するなど、納得してからサインバックしてくださいね。
③違和感を感じたら相談する
長期インターン先の企業と契約を進める中で違和感を感じたら、周りの大人に相談しましょう。
社会人未経験の学生は、契約書そのものや契約トラブルに関する知識が不十分です。適切に判断ができない可能性が高いので、まずは親や大学のキャリアセンター職員に相談してみてくださいね。
場合によっては「有給休暇はちゃんともらえるの?」「最低賃金額は確認した?」というように、社会人だからこそ気付く確認事項を指摘してくれることも。長期インターン先との違和感は安易に飲み込まず、必ずクリアにしたうえで契約を取り交わしましょう。
長期インターンの雇用形態に関するよくある質問
最後に、長期インターンの雇用形態に関するよくある質問に回答していきます。
保険や税金が絡んでくる長期インターンの疑問は、自己判断で進めず周りに適宜相談してくださいね。
長期インターンの給料が103万円を超えたら扶養から外れますか?
所得税の非課税ラインである103万円以上の給料を得た場合、扶養から外れます。扶養者(親)の扶養から外れると、扶養控除が喪失するため、結果として扶養者(親)の支払う税金が増えてしまいます。
収入は年103万円、月換算で8万5,833円以内に収めることを意識しておきましょう。103万円を越えそうな場合は、長期インターン先の上司に相談して勤務時間の調整をしてもらいましょう。
長期インターンは年末調整・確定申告が必要ですか?
長期インターンで年末調整・確定申告が必要になる条件は、主に以下のケースが挙げられます。
- ①年間103万円以上の給与を得た場合
- ②アルバイトやインターンを2カ所以上で取り組んでおり、サブの雇用先での給与所得が年間20万円を超える場合
- ③株やアフィリエイトなど、副業の所得が年間20万円を超える場合 ※他に給与所得がない場合は38万円以上
- ④年の途中で退職した後、働いていないなどで年末調整を行なっていない場合
申請書類は税務署で職員に相談しながらの記入も可能です。不安な場合は、最寄りの税務署へ一度問い合わせてみてください。
まとめ
最後に本記事をまとめます。
- 長期インターンの雇用形態には、「非正規社員(アルバイト)」「業務委託契約」の2種類がある。
- 雇用契約と業務委託契約には、メリット・デメリットがある。各契約の特徴を理解し、納得したうえで合意することが重要。
- 契約内容はもちろん、契約を進める中での企業の発言や姿勢も要チェック。信頼がおける企業で長期インターンに取り組もう!
社会人経験が積める長期インターンは、学生にとって有意義なキャリアプログラムです。一方、雇用形態や保険について無知のままで参加してしまうと大きな損をしてしまうこともあります。
しかし、雇用形態の仕組みや注意点を理解していれば、大半のリスクは回避できるものです。今回の記事をきっかけに、ご自身でも知識を身につけ、安心してインターンに臨んでもらえると嬉しいです。
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本社所在地 | 〒105-0021 東京都港区東新橋2-7-3 昭和アステック1号館701 |
法人番号 | 1011001146920 |
設立日 | 2022年4月8日 |
代表者(代表取締役社長) | 柴田将希 |
事業内容 | 長期インターン求人サイトの運営 就活情報メディアの運営 |
許認可 | 厚生労働大臣許可番号 有料職業紹介事業(13-ユ-315467) |